息抜き 
   
 



責任ある立場になっていろいろなことに気付かされた。自分が納得できぬことでも己を消して実行しなくてはならないこともある。
だが、まだ一役人としての範囲だ。最終的な決定権は自分には与えられていないし、下さなくていい為精神的には楽だと思っている。
王族の責務はあまりにも多く重い。カークは後を継ぐものとしてよりあらゆることが求められている。護衛官として傍に着くように
なってから漠然と思っていたことを実感としてわかるようになった。もちろん、レイアも護衛する立場として大変ではあるが、全てを
熟しているのはカークである。役に立てるのなら少しでも力になりたいが、執務に関してはそうもできるはずもない。
ならば、なるべく心安らげるようにと自分にできる限りでの己の任務を果たすしかなかった。

「……ァ……、レイア副隊長!」

巡らせていた思考から我に返る。どうやら相手は相当前から自分を呼んでいたようだ。勤務中の失態に反省しながらも相手の告げた
言葉に気持ちは軽くなった。

「わかった。後は頼む」

足早にその場から離れるレイアに苦笑が響いたが気にはしない。臨時で入った護衛の仕事は言わば勤務外である。
勤務超過であることに不満はあれど喜んで受ける者など余程いない。認められている者にしか声がかからないとしても心身ともに
緊張を強いられるため限度がある。それは責任ある立場であっても断っても許されることだ。レイアが仕事中毒と取られても仕方のない
ことだった。

「早く行かないと」

辿り着くのが早ければほんの少しでもカークの疲れが溜まらずに済む。自分が傍にいることで笑顔が浮かぶのならそれは何よりも
自分への力になる。
矛盾しているかもしれないが、緊張と共に安らぎを与えてくれるのはいつでもカークだった。



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