おいしいもので幸せを
1−2 ハロウィン編
「う〜ん、中途半端になっちゃったな」
余ったかぼちゃを前にして涼香は悩んでいた。
確かに余ると思って小さめのものを選んで買ってきたのはいいものを予想外に使わなかったのが意外だった。
かぼちゃの味がしっかりしているものが多くて、たくさん使うんだろうって考えていたものだから。
かぼちゃが濃い?からなのかそれともそれだけカロリー控えめ思考になってきたからなのだろうか。
もちろんたくさん食べる気がある身にとってはとてもありがたいことではあるけれど、さてどうしよう。
「まあついでだし、こう定番ものも食べたいわね」
かぼちゃのほっこり感と濃厚さを感じるには……
「よし、あれでいこう!」
涼香は腕をまくると次の準備へと取り掛かり始めたのだった。
「じゃあ、張り切って次作りましょ!」
かぼちゃのプディング(直径20pの焼き型1個分)
□材料
かぼちゃ(正味) 350g 卵 3個 グラニュー糖 50g 牛乳 300ml 生クリーム 50ml
バニラエッセンス 少々 ラム酒 大さじ1
カラメル(グラニュー糖 60g 水 大さじ2 熱湯 大さじ3)
□作り方
1 カラメルを作ります。鍋にグラニュー糖と水を入れて中火にかけます。混ぜないでそのまま煮立てて下さい。
2 茶色になったら、鍋を回して全体の色付け。火を止めてから熱湯を加えます。
* はねて危ないので鍋に顔や体を近付け過ぎないようにね。
3 バターをうすくぬった型にカラメルを入れておく。冷めると固まります。
* 型はグラタン皿、プリン型、個別の小さな入れ物でも。ただし耐熱のものに限ります。
4 かぼちゃは種などを取り除いて3〜4p角に切る。竹串をさしてスッと通るまでひたひたのお湯で茹で、つぶす。
* かぼちゃは蒸し器で蒸すとより水分が飛んで良い具合に。つぶすよりも裏ごし器などで裏ごし方が舌触りがよくなります。
どちらの場合もかぼちゃは見た目を気にしないなら皮はつけたままで。
5 鍋に牛乳、生クリームをいれて沸騰寸前まで温め、バニラエッセンスを加える。
* 牛乳は膜が張ると栄養分がとられたり、舌触りの悪さや凝固力の低下に繋がります。
沸騰寸前で止めてください。
6 オーブンを180℃にセットし、温めておく。
7 4に5の牛乳他を2、3回に分けて混ぜる。だまにならないよう少しずつ泡だて器で混ぜてください。
8 ボウルに卵を割りいれ、泡だて器でよく解きほぐし、砂糖を2回に分けてよく混ぜる。ラム酒もここで加えて下さい。
7に少しずつ加えながら混ぜていき、全部混ざったらざるなどでこす。
9 カラメルを入れてあった型に流しいれる。
10 型をオーブン皿にいれ、6分目まで熱湯を注ぐ。
180℃のオーブンで20〜25分焼き、竹串をさして何も付いてこなければ出来上がり。荒熱をとって冷蔵庫で冷やして完成。
* 型やオーブンによって焼きあがり時間が異なります。15分過ぎくらいに一回覗くといいかも。
* 砂糖は10gまで(40g)減らせます。好みでナツメグやシナモンを少量加えても。
「これだったら食後のデザートでも大丈夫だし、口当たりも良いし」
楽しみは後に取っておいてもいいのよね、と理由をつけて。
食べる機会を増やしているだけのような気もするけれど。
「いくらかぼちゃが年中あるっていっても、季節を感じて楽しまなくちゃ」
どうやら当分自制心とは縁遠く、誘惑と言う魅惑の空間から抜け出せそうになさそうだ。
甘いものを食べるにはその分カロリーを燃やすしかないけれど、これで運動でも始めて
習慣にすることができれば、すごく健康的になるのではないだろうか。
そうなれば良いこと尽くしで仕事のストレスも少しはまぎれそうな気がしてくる。
「一石二鳥どころか一石三鳥じゃない!」
一人呟く涼香には根気をなくして全てをやめてしまったあげく、今より悲惨な目に合うだろうことは
少しも頭に浮かんでいないのであった。
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