おいしいもので幸せを
1 ハロウィン編
秋本番。すごしやすい季節を迎え、気分も上昇と行きたいところだけど
この時期柄ちょっぴり困ったこともある。
秋といえばスポーツの秋、読書の秋、そしてなんと言っても食欲の秋!
夏バテなんて言葉とは無縁のはずだったんだけど、今の状況を考えると自然と食欲落ちてたんだな〜って感じる。
まあ、食べられないより食べれた方が断然いいんだけどっ。
でもやっぱりこれは考えもの。じっとしていても頭に浮かぶのは光り輝く食べ物たちなんだから。
「う〜、食べたい」
思わず言葉に出る程の欲求。
我慢しすぎるのも体に良くないって聞いた。
それだったら
「よしっ、自分で作ろう!」
こうして涼香はエプロンを身につけ、自宅の台所に立ったのだった。
*
「え〜っと、そう言えばもうすぐハロウィンよね」
宗教にはアバウトな日本人。
仏教徒が多いけれど、少数の人を除けば本来の日常生活に宗教はあまり深く関わってこない。
大事にするのは行事?だがそれも一年にそうたくさんはないだろう。
だからなのかそれとも楽しいこと好きなのか、はたまた業者の策略か。
他宗教の行事をふんだんに取り入れて楽しんでしまうという風習が根付いてしまったのかもしれない。
その代表的なものがクリスマスだったりするけれど、もう定番になってしまって新鮮味が薄れてきたような気がする。
そしてそれに取って代わるとまではいかなくても身近になりつつある特に子供にとって素敵なイベント、
それがハロウィンなのだ。
それもそうだろう。
だって仮装すれば普段の自分を解放できるうえに家を回ってお菓子をもらえるなんてっ。
やり始めたらきっと病み付きになるに違いない。
でもさすがに大人になったらそういったイベントを実施している所や内々のパーティでなければ表立っては
恥ずかしくてできないと思う。
今の所どうしてもやってみたいとまではいっていないけれど。
まあそれはともかく。
前置きが長くなっちゃったけど、とにかく秋の収穫時にはおいしいものがもりだくさんだ。
季節や何かを感じるためにもおいしいものを食べたい欲求の為にもいざ作ろうっていう気になったわけ。
どちらかというと料理は苦手だからお菓子になってしまうけれどたまの贅沢、たまのお菓子作り。
イベントにかこつけて作ってみるわ。
よかったら皆さんも涼香お勧めレシピ、作ってみてね!カロリー控えめよ。
かぼちゃのスフレケーキ(スフレ型8個分)前の晩から準備をしましょ!
□材料
(卵白2個分 砂糖35g) (卵黄2個分 砂糖35g) プレーンヨーグルト200g
かぼちゃ(ゆでてつぶしたもの)100g 牛乳大さじ4 薄力粉(ふるっておく)40g
シナモンパウダー少々 バニラエッセンス少々(または洋酒)
□作り方
1 プレーンヨーグルトの水分を取ります。手つきのこし器にキッチンペーパーを敷き、ヨーグルトをいれます。
ボウルを受け皿にして冷蔵庫で一晩置く。時間にして6〜7時間くらい。結構たくさんの水分がでます。
水っぽさがあるようなら少しずつ時間を長くしてください。
それから完全にペーパーで包んで重石を乗せて1〜2時間置きます。100gになるように。
2 種を取り除いたかぼちゃはひたひたのお水で茹でる。蒸しても大丈夫。時間はかかりますがいい具合に水分も飛びます。
竹串をさしてスッと通ったら大丈夫。お水を切って鍋を振りながら余分な水分を飛ばして下さい。
それから熱いうちにすりこぎなどつぶしやすい道具でかぼちゃをつぶす。
*見た目を気にしないのならかぼちゃの皮はつけたままで。栄養的にそして面倒を省くためにそのままでも。
オーブンを余熱で温めて下さい。大体180度で。メレンゲを萎ませないために。
3 ボウルに卵白を入れ、砂糖を2〜3回に分けて入れながらハンドミキサーでしっかりしたメレンゲを作る。
*普通の(手動)泡立て器でもいいけれどとっても大変。それではメレンゲを作る時の涼香流コツです!
1 卵白は冷蔵庫から出してすぐ使う。(冷たいままで。卵の凝固力の関係で)
2 まずは全体が均一に解きほぐれてから砂糖を入れる(1回目)
3 解きほぐれて白く均一の細かい泡になったら砂糖2回目投入。
4 段々重くなってきます。そうしたら砂糖3回目。
5 あとはリズムカルに泡立て。艶が出てきて泡立て器を持ち上げた時にメレンゲのツノがピンとたったら完成!
*慣れるまでどの辺までやっていいかわかりにくいけど、もうこれは繰り返しやるのみ!経験です。
最後の仕上げはハンドミキサーでなく普通の泡だて器で手で泡だてた方が丁寧な泡立ちになります。
4 別のボウルに卵黄と砂糖を入れ、ハンドミキサーでよくすり混ぜる。
*卵黄は卵白とは逆に室温に戻した方がよく混ざります。まず卵黄を均一に解きほぐしてから砂糖を入れた方がいいです。
後は白っぽくなるまで混ぜて下さい(マヨネーズ状になるまでやる必要はなし)。
5 脱水したヨーグルトとかぼちゃを加えて低速で混ぜる(滑らかに混ざるまで混ぜる)。
6 卵黄・ヨーグルト・かぼちゃなどの混ざったボウルに牛乳、振るった薄力粉を加えてハンドミキサーの低速で混ぜる。
*コクを出すために牛乳の半量を生クリームにしても。
なければもちろん牛乳だけで。牛乳はかぼちゃの状態をみて量を加減して下さい。
7 ゴムべらに持ち替えてメレンゲを2〜3回に分けて手早く混ぜ、シナモンパウダー・バニラエッセンスを加える。
*メレンゲの1回目は泡だて器でよく混ざるように混ぜた方がいいかも。
あとは泡をつぶさないようにゴムべらで。その時はボウルを回しながら混ぜると早く混ざります。
バニラエッセンスの代わりに洋酒を入れるならラム酒かブランデーがよくあいます。
8 型に生地を流し、天板に型を並べ、湯を深さの半分ほど入れて170度のオーブンで18分焼く。
(竹串を刺して何もついてこなければ焼き上がり)
*型は大きな型で焼いても。グラタン皿なんかにいれて取り分けるのも楽しい。あまり深さのない方が早く焼けます。
オーブンや型で少々焼きあがる時間に差が出来ます。注意してね。
「よし、これでオッケー」
思ったより早くできて涼香はホッと一息ついた。
後は焼けるのを待つだけだけどやっぱり出来上がるまでは落着かない。
なんか他の事をやってた方がいいかなぁ。
「そうだっ」
やかんに水を入れてお湯を沸かし始める。
おいしいお菓子にはおいしい飲み物。
かぼちゃには紅茶があっているからと、置いてある紅茶の缶を取り出した。
「え〜っと、何にしようかな。ニルギリ、ダージリン……あっ、アップルティなんかもいいかも!」
焼きあがるまでの時間も楽しい。
その時その時の気分でいろいろアレンジしたり特別にセッティングしたりして。
少し時間はかかるけど、それでもこれも気分転換になったりするからたまにはこんな時間のかけ方もいい。
まだかな、って時々覗いたり落着かない気分でも顔には笑顔が自然と浮かんでいるのが涼香自身にもわかる。
「秋に感謝しなくちゃ」
チンと焼き上がりの合図の音に涼香はいそいそとオーブンへと向かったのだった。
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