ヴァルアスの日常
警備隊編 1 訓練の辛さとは
「隊長〜、ま、まだですか」
「なにを情けない声を出している。当たり前だろう」
「もう限界ですよ〜」
「根性いれろ」
まったくこれぐらいで音をあげるなんて訓練不足にも程がある。
だいたい平和だから訓練なんていい加減でいいだろうなんて考えてるからこんなに簡単に息が切れるんだ。
少しは懸命に頑張るフレイアを見習え!
「隊長、フレイアが頑張っているのは俺らだってわかってますよ。
でもちょっと隊長のフレイアへ対しての態度は行き過ぎなんです」
行き過ぎ?俺の行動が?
「行き過ぎってなにが」
「自覚ないんですか。ったく、やってられませんね。
いいですか。隊長とフレイアが二人でいると自然にいちゃついているんですよ。
本人達が気付いていないから余計にタチが悪い。それを見ていると自然に体から力が抜けちゃって」
「そうだよな。いくらお互いが好きだからって止めて欲しいよ。
何やっていたって見せ付けられているのと一緒なんだから」
へたばって地面に這いつくばっていた部下達はようやく回復してきたのか、地面に体を起こし好き勝手なことを
言い合っている。
つまり、何か。俺達が原因で訓練に身が入らない、とでも言いたいのか。
「ほお〜、それはそれは」
「た、隊長?」
「すまなかったな、お前達の邪魔をしたみたいで」
「い、いえ、そんなことは……」
「つまり俺達のことを気にするほどの余裕があったってことだろう。
よし、いいだろう。そんな余裕が無いほどもっと訓練に身をいれてもらおうか」
「うそですよね!!」
「嘘なもんか。お前達は俺が順番にたっぷり扱いてやるからな。覚悟しとけよ!」
「そ、そんな〜っ」
悪かったと追い縋る部下達を無視し、俺はさっさと歩き出した。
あいつ等を構っている時間はない。
なんたって今頃サーシェスと会っているフレイアを救い出しに行かなきゃいけないし。
こんな所が行き過ぎだって言いたいんだろうか。
でも仕方がない。俺にとってはフレイアが一番の優先事項なんだから。
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