○守りたい

ある社会人シリーズ


涼香 

いつの間にか守られることに慣れてしまってそれが当然だと思い込んでいた。

一つのことに夢中になりすぎてわからなかったのもあったと思う。

……ああ、だめね。言い訳よね。

でもそのことを他の人から指摘されたおかげで自分をちょっと見直せた。

自分でも気づかなかったことを注意することで前と違った自分になれる。

それってすごいことだと思うわ!

自分以外の誰かを守ることも素晴らしいことだと思うけど少し間違えれば偽善にもなりかねない。

どうしたらいいんだろう。

考えた末にまずは自分から守ることにしたの。

例えば約束を守るっていう小さなことだって降りかかるかもしれないトラブルから
自分を守ることになるかもしれないでしょ。

だからって外的なものばかりじゃなくて、内的なものも守らなくちゃいけないけどね。

心を守ることは精神状態を安定させることにも繋がるから。

でも場合によっては全てから自分を遠ざけてしまったりする可能性もある。

ああ、考えれば考えるほど難しいわ、守ることって。

それでも私は決めたの。

守られることより守ろうって。

それはいずれ自分以外のものを守ることになっていくかもしれないでしょ?


恋の行方のその先は

 静香


う〜ん、守りたいものか〜。

たっくさんあるのよね!

それこそ全部言ってみろって言われたらキリがないわ。

その中で一つに絞るのは難しいけど……

でもどうしても、ってことなら私が守りたいものは自分の気持ち、かな。

いっぱい詰まった心を押し殺すことなんて到底無理。

無理やり違った方向へと持っていかれたら私が私じゃなくなるもの。

ね、そう思わない?

 

私は何が守りたいのかしら?

それこそ今すぐ言えって言われて思い浮かぶかどうか何とも言えないけど
一つだけ譲れないものはあるかもしれない。

それを言うのはちょっと心苦しいけれどでもそれこそ本人に言わないとこのままズルズルなし崩しになるもの。

だから今こそ言うわ。

お願い、私は平穏な毎日が欲しいの。

これ以上、暴走しないでね。頼むわよ、静香っ!


デパ地下な彼女

 優希


いくら恋人だっていってもお互い踏み込めない領域ってあると思うの。

そりゃあ、相手が好きだったらいろいろと知りたいけどね。

でも、踏み込みすぎたらいい気分しないでしょ?

その辺りの個人としてのお楽しみの部分は守りたいってわけ。

決して気持ちが弱いとか、薄情とかそんなのとも違うわ。

ただ、個人としての部分は守って欲しいってこと。

わかるわよね?

 弘哉

俺としてはとにかく無条件に守りたくなっちゃうんだけどどうしてこううまくいかないのかな。

過干渉もいけないと思って抑えてはいる。

でもどうしても守りたくなってしまう雰囲気なんだ。

まあ、最近じゃそうじゃなかったってわかったけど。

彼女は(って言うより女の子はって言った方がいいかもしれない)
とてもしなやかで柔軟性があって強かったんだ。

その辺りを理解して接しないと俺の方がたじたじしてしまう。

うまく行く方法はお互いがお互いを守っていくことなのかもな。



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