幻影の夜



あなたと初めて会ったとき  瞳を逸らすことができなくて 

時間だけが過ぎていくのさえも  気がつかずにいた 


月の明かりだけ頼りにして  独りそっと道を歩いた 

誰にも言えない想いでも  届くと信じていた 


あなたに会うと胸が騒いで  自分がわからなくなる 

それでもそれは心地がいいから  会わないでいられない 


幻影のような一夜でも  幸せで満たされて 

願わばこの穏やかな時間が  いつまでも続くように 



うつむくあなたの横顔が  寂しさに囚われすぎていて 

消えてしまいそうなその姿  じっとしていられなくなる 


宵の闇に静かに移る  ひとときの時間だけが 

現実を映し出している  まやかしなどではなく  


繋ぎ止めたい心を殺して  あなたの背中を送る 

再び出会うことができる時間を  信じて待つために 



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